名シカ猟犬・種牡ハク号の現役復帰
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名シカ猟犬・種牡ハク号の現役復帰


ハク号は、6月1日で7才になった。鹿児島から当犬舎に来たのは約4年前。ハク号の最初の子供達も3才となり、立派な狩猟犬となっている。当犬舎にもアキ号とエリー号が居る。

ハク号との思い出は多い。1才時に鹿児島で見たノウサギ猟での仕事は、エネルギッシュな狩り込みから素早い起こし、ウォウォと低い美しい声での追い鳴き、スピード豊かな追跡に驚いた。小生は猟を始めた昭和48年からアメリカンピーグル一筋でのノウサギ猟を約40年やって来た。平成3年には(社)全日本狩猟倶楽部主催「第12回全猟ビーグル競技会全国決勝大会」成犬部門で総合優勝し内閣総理大臣杯も受賞した。しかし、このハク号のノウサギ猟を見てサツマビーグルの能力と資質の高さに感銘を受けた。

その後、毎年のように鹿児島に行き、サツマビーグルの保存を訴えてきたが誰も残そうとしない。この素晴らしい日本固有の獣猟犬を後世に残さなければ・・・との思いから、6年前の定年退職を機に保存活動を開始。

しかし、ハク号はオーナー様が放さない。しかたなくビーグルトライアルの全国の猟友にお願いし探すが純粋な犬は出てこない。そこでホームページ「狩猟犬サツマビーグルの郷」を開設し一般の方からの情報を期待した。その結果100件余りの情報を頂いたが繁殖可能な純粋犬は数頭ほどしか見つからなかった。

そして、ハク号を見てから2年目の時、オーナー様の猟友でサツマビーグル一筋の方様から「ハク号を預かっているが飼いますか・・・」と連絡があり、「飼います」と即答。
その時の猟友は、今は私のサツマビーグルの師匠(80才)となっている。サツマビーグルの飼育歴は何と70年である。少年のころ当時サツマビーグルは放し飼いで、子供の遊び相手となっていたと聞く。子供たちはお気に入りの犬を持ち寄ってはノウサギ猟のまねごとをして遊び、自然に犬の扱い方や猟を覚えたものだ!・・・と懐かしそうに話して下さる。今でも色々とサツマビーグルの歴史や思い出を聞くためよく電話をするが、話が2時間に及ぶことも少なくない(笑)。とてもお元気である・・・。

オーナー様は、高齢でもう猟は出来ないのことから小生に飼育を託して下さった。当時ハク号の仕事ぶりは有名で、何人ものハンターが高額で買いに来たと聞く。なぜ小生なのかを尋ねると、ハク号の子孫を後世に残してもらえる・・・との思いと奥様が小生を大変好いて下さっていたことが譲渡の理由だったと師匠からお聞きした。有難いことだ!。。。

ハク号が当犬舎に来て今日までの4年間余り、純血サツマビーグルの種牡として健康に注意を払いながら大事に飼育して来た。何度となくハク号のあの豪快な追い鳴き(追跡)を見たいと思ったが・・・保存のため!・・・と我慢して来た。その間、ハク号の猟芸を見せてほしいと依頼もあったが全てお断りして来た。しかし、このことが逆にとられ「仕事をしない犬を種に使っている」等々の吹聴もされたが、ハク号の子孫が増え大きくなって後継犬が出来るまでは何があっても何を言われようと「忍」に徹して来た。かなり辛い思いもしたがハク号とエス号の僅か2頭で開始した保存活動も約4年目の今日、全国で70頭余り(当犬舎以外も含む)まで増えている。感慨無量である。現在は保存会もでき、若い優秀な後継者もできた。しかし、種牡がハク号、シロー号、リユウ号、ギン号と4頭(系統)しかなく、うちリユウ号は昨年イノシシ猟中に惜しくも死亡している。今後はこの子供たちの血統を上手く一元管理し、遺伝的な障害を排除しつつ、後世に残して行くことが保存活動の課題となる。
現在は、当犬舎の譲渡犬に関しては詳細な情報をコンピュータで一元管理し、繁殖の指導を行っている。しかし、この事務作業を行っていく後継者がいないのが現状であり、これを解決することが保存の課題となっている。保存活動には多くの時間と経費が必要であり一個人ができることには限度がある。
将来は、保存会組織をNPO法人化し事務局を置いて血統書の発行まで行うことが目的であるが、それには多くの賛同者と運用経費がいる・・・。今後の課題は山積だ!。。。

さて話をハク号に戻そう!。
1週間前、約4年ぶりに2回目の山入訓練を行ったのでその時の様子を紹介する。
3才までは名ノウサギ猟犬、名シカ猟犬と言われていたが、この4年間と言う長期のブランクは人間年齢で言うなれば約16年と言うことになる。マラソンの選手が現役を引退しコーチや監督をやった後、16年ぶりにフルマラソンの現役に復帰する・・・と言い換えれば良く理解できる。この事からも正直あまり期待は出来なかった。
しかし、ハク号は違った!!!。。。
エネルギッシュな狩り込み(捜索)、素早い起し(発見)、追い鳴き(美声)、追跡(約90分)、帰り(呼び戻し)を完璧にやってのけた・・・。。。何ということか? 感動した!。


写真① 訓練開始前のハク号(放犬前の勇姿)
午前7時に訓練場所に到着。GPSマーカーを装着し放犬。物凄いスピードでエネルギッシュに狩り込んでいく。GPS受信機で確認すると平均速度は約9km/hである・・・早すぎる・・・バテルかも?。。。約3分余りで起しから追い鳴き、追跡に移る。以前聞いた追い鳴きだ!。実によく通る美声で「ウォウォ」と連続鳴き。約20分で雄シカを確認。その後も60分余り見事な追跡をみせた。呼び戻しも完璧であった。
恐るべし!ハク号・・・追跡ロボットのようだった。





































写真② 追跡を終えて帰って来たハク号
4年間のブランクなんか何のその!・・・と言わんばかりの満足感漂う良い顔である。
現役復帰できるか・・・との心配も、何と取りこし苦労に終わってしまった(笑)。
この犬を見て、サツマビーグルの保存を決意したことに間違いはなかった・・・と実感。









































写真③ ハク号が牡シカを追跡した軌跡(GPS受信機)
約3km×2km四方の山野を90分余り追跡。平均速度は約6km/h。延べ移動距離は約10km。追跡中、アスファルト道路の横断は4回。谷川の横断は5回。
※ 当地のシカは、ほぼ隔日で犬を入れているのでスタミナ、逃避術は非常に長けており、並の犬では起こしも追跡もままならない。足の弱いシカは他の場所に移動している様である。しかし、シカが生息する条件が全て揃っている。標高が400m~700mまで続く大山で、杉林と檜林の間に雑木林が混在し谷川も3本流れている。夏でも涼しく生息条件が良いので、犬に追われても強いものはこの地を離れない。





































<追記>
昨日(6/2)も早朝小雨が降る中、見学の約束をしていたので山入りした。見学者様には「ハク号を連れて行きます」と言うと「良いのですか」と返されたが、山入した。結果は、約2時間にも及ぶ見事な追い鳴き(追跡)をみせ、見学者様にも純血サツマビーグル「ハク号」の猟芸に納得して頂いた。

◎ハク号の猟芸を公開します・・・

エネルギッシュな狩り込み(捜索)、素早い起こし(発見)、追い鳴き(美声)、追跡(約2時間)、帰り(呼び戻し)に至る一連の猟芸をご覧ください。

※ 見学は前もって電話連絡をお願いします。尚、集合は午前6時30分厳守。




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